私がことばを交わせない時期に

ずっとラジオを聞いていた。

小夜子さんという

人の話す番組をよく聞いた。誰ともしらず

向こう側で話しかけてくれる優しい小夜子さんの会話

他にも

会社のバスで駅まで帰る長い車中に

いつもおちゃらけたテーマ曲と一緒に

小話を聞いた、毎日同じ人で夕暮れに

明るく車中流れてくるのを

聞いてた。

ラジオって向こう側にいる人を想定し

話しかける

だから、優しい

目の前に人がいても罵声をあびせかける

相手の気持ちの想像すら拒否、無視し

傷つけまくる人もいるというのに。

音楽もよく聞いた

雨の曲が好きだった

雨の日にはラジオが聞きたくなった。

語りかけてくれるものが唯一

優しかった。

雨音も

優しい。